- 機能性ディスペプシアについて
- 機能性ディスペプシアが起こる原因
- 機能性ディスペプシアの診断方法
- ピロリ菌と機能性ディスペプシアについて
- 機能性ディスペプシアを改善するには
- 機能性ディスペプシアの再発を防ぐには
機能性ディスペプシアについて
機能性ディスペプシアは、胃カメラによる検査で粘膜の異常が確認されないにもかかわらず、みぞおちの違和感、痛み、膨満感、胃のもたれなどの症状が現れる病気です。
以前は慢性胃炎やストレス性胃炎、神経性胃炎と診断されることが多く、適切な治療を受けられずに苦しむケースも少なくありませんでした。
しかし現在、機能性ディスペプシアに特化した治療薬が開発され、その効果に期待が寄せられています。
認知度はまだ低いものの、機能性ディスペプシアは日本人の約10%が経験するとされる比較的一般的な病気です。
上部消化管に症状があるにもかかわらず検査で異常が見つからない場合は、効果的な治療を提供する当院にご相談いただければと思います。
機能性ディスペプシアが起こる原因
機能性ディスペプシアの発生原因には、日常の生活習慣、遺伝的要因、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染、ストレス、知覚過敏、機能的な障害が含まれており、これらは器質的な異常とは異なるとされています。
また、これらの要因が相互に作用し合い、症状を悪化させることもあるとも考えられています。
食道・胃・十二指腸の不調
消化管は食べ物を体内で前進させるために蠕動運動を行いますが、この運動が不調になると食物の移動タイミングがずれ、色々な症状を引き起こすことがあります。
蠕動運動はアルコールや喫煙、食事の取り方やタイミング、暴飲暴食、ストレスなどの影響を受けやすいです。特に、大腸の蠕動運動が不十分になると、便秘が頻繁に起こる機能性ディスペプシアが発症しやすくなります。
食道・胃・十二指腸の知覚過敏
食道と胃、十二指腸は、炎症などのわずかな刺激にも敏感になり、不快な症状を引き起こすことがあります。
特に十二指腸は、脂肪や胃酸の影響を受けやすく、これが色々な症状が起こることにも繋がります。
過度なストレス
機能性ディスペプシアの発症・悪化には、肉体的、精神的ストレスが深く関わっています。
ストレスは消化器官の働きに影響を及ぼし、消化管の機能も脳神経によってコントロールされています。それ故に、消化管はストレスに左右されやすいのです。
ヘリコバクター・ピロリ菌の感染
機能性ディスペプシアはヘリコバクター・ピロリ菌の感染とも関連があることが明らかになっています。
ピロリ菌の除菌に成功した結果、機能性ディスペプシアの症状が改善されたケースも少なくありません。
機能性ディスペプシアの診断方法
機能性ディスペプシアの診断は、胃カメラによる検査で粘膜異常が見つからない場合、かつ早期満腹感、胃の不快感、胸焼け、みぞおちの痛みなどの症状が持続していると医師によって判断された際に行われます。
また、胃カメラ検査以外にも、血液検査を含む他の検査を通じて、異なる疾患やヘリコバクター・ピロリ菌の感染の有無をチェックします。
ピロリ菌と
機能性ディスペプシアについて
ヘリコバクター・ピロリ菌の感染が原因で起こる萎縮性胃炎と、機能性ディスペプシアは、消化器内科の専門的な診断と治療により、現在では正確に対処できる病気として扱われるようになりました。
ピロリ菌による感染があると、長期的な胃炎により粘膜が徐々に薄くなり、萎縮性胃炎へ移行することがあります。
この状態は胃がんのリスクを高めるとされています。さらに、胃の動きが不調になり、機能性ディスペプシアの発症リスクも増加します。
ピロリ菌の除菌治療によって胃の動きが改善されることが期待されるため、長引く胃の不調を抱えている方は、適切な検査と治療を受けるために、ぜひ当院へご相談ください。
機能性ディスペプシアを
改善するには
機能性ディスペプシアの対処法としては、食事及び生活習慣を改善することに加えて、薬を用いた治療が行われます。
薬物療法
症状の原因に合わせて、適切な薬を処方します。胃の粘膜を修復し保護する薬、胃機能をサポートする薬、漢方薬を組み合わせて使用することもあります。
症状によっては、抗不安薬や抗うつ薬の使用が適切なケースもあります。
患者様の生活習慣や体質、症状に応じて、薬の種類を選び、症状の変化を見ながら処方します。
また、ヘリコバクター・ピロリ菌に感染している場合は、除菌治療が有効です。
生活習慣・食事の見直し
自律神経が消化管の機能を適切にコントロールできるようにするためには、定期的な生活リズムを心がけることが重要です。食事に関しては、丁寧に噛み、ゆっくりと時間をかけて摂ること、そして適量の水分を摂ることが勧められます。
また、食事の後は消化管に余計な負担をかけないためにも、十分な休息をとることが大切です。
機能性ディスペプシアの
再発を防ぐには
食事や日々の習慣を改め、ストレスへの対処法を身につけることが重要です。無理なく続けられる範囲で、徐々に改善していきましょう。
生活習慣の見直し
健全な生活リズムを確立するためには、早起きを心がけ、毎朝の食事を欠かさずに摂ることが大切です。生活のリズムを整えるためには、朝の日光を浴びることがお勧めです。
また、適度な運動と十分な睡眠も、健康な生活には欠かせません。
生活習慣の改善は、免疫力や代謝、体力向上に繋がります。消化器系の症状を悪化させる喫煙は、できるだけ控えるようにしましょう。
食事内容の見直し
1日3回、バランスの取れた食事をしっかり摂ることが重要です。食べ過ぎないように注意し、噛む回数を増やすように心がけましょう。
食後は休息を取り、食べ物が消化されるように過ごすと良いでしょう。
しかし、過度に心配しすぎると逆にストレスになるので、無理なく続けられる範囲で実践してください。
ストレス発散
どんな状況下でもストレスは避けられないものです。そのため、ストレスと上手に付き合う方法を見つけることが重要です。日々の生活に運動や趣味の時間を組み込むこと、リラックスできるお風呂や寝室を作るなど、ご自分に合ったストレス対策を見つけて実践しましょう。